「Rabbit House Tea Party 2022」イベントレポート

 昨年5月8日に開催される予定だった本イベント。新型コロナウィルスの影響で延期されていたが、その振替公演となる『Rabbit House Tea Party 2022』が2月26日に開催された。その昼・夜公演の模様をレポートする。
 会場となったパシフィコ横浜 国立大ホールには、たくさんの『ご注文はうさぎですか?』ファンが集まり、イベントの始まりを今か今かと待ち構えていた。
 大きなティーカップが設置されたステージ。そのカップの上から、昼公演では「お待たせ!」、夜公演では「ごきげんよう」とキャラクターの口調で挨拶をしながら、ココア役の佐倉綾音さん、チノ役の水瀬いのりさん、リゼ役の種田梨沙さん、千夜役の佐藤聡美さん、シャロ役の内田真礼さん、マヤ役の徳井青空さん、メグ役の村川梨衣さんが登場する。そして最後に司会を担当するタカヒロ役の速水奨さんが下手から現れて全員集合すると、いよいよ久しぶりとなった“Tea Party”がスタートする。
 昼公演の最初のフリートークで佐倉さんが「今日は歌わないんです。でも、これから2時間弱ぶっ続けでトークします! 皆さんを楽しませようと思う気持ちはすごくたくさん持ってきました」と語っていた通り、この日はトークにゲームに朗読劇、そして“速水さんのムチャ振りに振り回される娘たち”という、何度か来ている方にはお馴染みの“Tea Party”が見られることとなった。ただ、ムチャ振りはされつつも、ファンの期待に応えたい!というパワフルなキャストたちに、速水さんのほうが制御できなくなる……という場面も多く見られたように思う。
 イベントはまず、第3期の振り返りコーナーから。昼の部は「一番心が花ひらいたシーンは?」というお題で、それぞれが名シーンを紹介していく。徳井さんが挙げた“第11羽の手伝いに駆けつけたマヤとメグにチノが泣いてしまうところ”では、分散収録でアフレコが別々だったこともあり、徳井さんと村川さんはチノを想像しながら演じていたそう。村川さんが「我々のイマジナリーチノを超えてきていた」とオンエアを見て驚いたことを明かすと、徳井さんもどういうディレクションであの泣き方になったのかと質問。これに水瀬さんは「ずっと隣にいたマヤとメグには、泣きじゃくるくらい子供っぽい部分も見せるのではないかと思って。何パターンか収録したうちの一番ぐずったものが使われていたんです」と答えていた。その他に紹介されたシーンも、ほとんどすべてがうるっとくるもので、改めて第3期は感動的なシーンが多かったことを再確認した。
 また作品にちなんだトークテーマとして、昼公演では「もし声優じゃなかったら?」というお題が出される。佐倉さんの“本屋さんか、イルカの調教師さん”、水瀬さんの“子供や心理に関するお仕事”、種田さんの“先生かアートに関連した職”、徳井さんの“冒険家”、佐藤さんの“トリマーさん”、内田さんの“誰かのしあわせをお手伝いするお仕事”と答えていたのだが、村川さんは“お花”と回答。斜め上を行き過ぎる村川さんに、総ツッコミが入っていた。
 夜公演の「10年後、自分のキャラはどうなっている?」というお題では、「10年後もココアはここで働いています」という佐倉さんの答えに対し、水瀬さんは「チノは世界で活躍するバリスタになっている」と答えていたため、ココアとチノがはなればなれになってしまう事態に。これに対し「毎晩テレビ電話しよう」と言う佐倉さんに、ちょっと重いかな……と戸惑う水瀬さんのやり取りも面白かった。
 ゲームコーナーでは、佐藤さんが司会に加わり、高校生チームとチマメ隊に分かれて対決。昼公演の「ご注文は鬼ごっこですか?」では、チームの3人がシルエットだけが見えるボックスに入り、相手チームがあらかじめ決めていた鬼を当てるというゲーム。ボイスチェンジャーで声を変え、アイテムを使ってシルエットも変えていたので当てるのが難しかったが、しゃべり方なども変えて騙しきったチマメ隊と、シルエットで二段変形をさせた時点で佐倉さんだとバレてしまうなど、完璧に当てられてしまった高校生組とで明暗が分かれる結果になってしまった。
 続く、自分が考えた部活に勧誘をする「入りたいのは何部ですか?」は、観客の拍手の大きさで勝敗を決めるチーム戦。まずは内田さんが“マンガ部”で、『ベルサイユのばら』にハマっていることをアピールすると、水瀬さんが“夢追い部”という、みんなでお金を出して宝くじを当てよう!という謎の部を発案。すると佐倉さんが“ねこ部”で、猫の素晴らしさを猛烈にアピール! 村川さんは、“ライ部”という、みんなでライブを見るというハッピーな部活に勧誘をする。最後のターンでは、種田さんが“もふもふ部”という、かわいい動物に顔をうずめて息を吸い込むという、今の人類に必要な『ごちうさ』らしい癒やしの部を提案。ここまで高校生組が優勢だったのだが、最後に登場した徳井さんが“天然ぶり部”という、天然ぶりっ子を作るという時点で、もはや天然ではないのでは?という画期的な部活を提案! これは大好評で、徳井さん自らもアイドル声で演説をすると、大きな拍手が起こっていた。ここで差を縮め、チマメ隊が高校生組に肉薄したものの及ばず、勝負は高校生組の勝利となった。
 夜公演ではアイテムになり切ってお芝居をし、何になり切っているのかをメンバーに当ててもらう擬人化ゲーム「ご注文は名(迷)女優ですか?」と、役職をかけて争う「ご注文は選挙活動ですか?」で対決。後者は、役職に立候補したメンバーに、ほかのメンバーが公約(という名のムチャ振り)を決めて、それをやってもらうという体を張ったゲーム。“ラビットハウスの1日店長”の座をかけての戦いでは、食器を全部割られても怒らないで元気づけてくれるハイテンションな店長を演じた村川さんと、ちょっとセクシーでとびきりかわいい、さらにコーヒーを飲んで酔っ払う店長を演じた内田さんとの戦い。ここでは内田さんが勝利したものの、「それはカフェでしたか?」と水瀬さんから鋭いツッコミが飛んでいた。“青山さんの1日担当編集”をかけた選挙では、青山先生を元気づける応援ダンスを披露した徳井さんと、青山先生が2年締め切りを破っても優しい言葉をかけてくれるどころか、謎のステップを踏んで徳井さんに対抗した種田さんの戦い。「人生で一番ダサいステップを踏んだ……」と自分で言うほど体を張った種田さんだったが惜しくも破れ、徳井さんが勝利! 最後は、“文化祭実行委員”をかけての勝負。アイディアマンになって文化祭でやることをズバッと決定した水瀬さんと、なぜかキャッチボールをしながら、良いことを言って生徒の気持ちを高めてくれた佐倉さんの戦い。この戦いには、熱血委員長になり切った佐倉さんが見事に勝利し、夜公演は高校生チームの2連勝で決着した。
 イベントを締めくくる朗読劇の前はミニコーナー「ご注文はおやじですか?」を実施。これは、視聴者からいただいた質問を、速水さんが橋本裕之監督に聞いていくというQ&Aコーナーなのだが、OP&EDアニメーションの制作秘話やアニメオリジナルシーンがKoi先生からのアイディアやセリフも取り入れた上で作られていることなどを明かしていた。最後は、『ごちうさ』をこれからも作り続けたい、そして速水さんもタカヒロを演じ続けたいと、作品への熱い思いを語り、ファンを喜ばせていた。
 そして朗読コーナーへ。朗読は、第3期のラストで、チノがみんなと外の世界に行ってみたいと言ったところから、新年早々、ラビットハウスに集まり、旅行先を考えるというストーリー。みんなから行ってみたいところ、やってみたいことがいろいろ飛び出すが、なかなか決まらないし、妄想で違うところに話が飛んでいっちゃうしと、いつものわちゃわちゃとした空気感が楽しめたし、最後のチノの「こうしてみんなで楽しく過ごせる時間が続きますように…」という言葉からは、『ごちうさ』に漂っている感動的な雰囲気も感じることができた。第3期は分散収録だったこともあり、キャストもみんなで掛け合いができたことを喜んでいるようだった。
 最後はキャストから、『ごちうさ』ファンへ感謝のメッセージが贈られる。
「またこういうふうに顔と顔を突き合わせて会える機会を、絶対に作っていきたいと思っていますので、その時まで楽しみにお待ちください!」と佐倉さんが想いを伝え、イベントは終了した。

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