『ご注文はうさぎですか?』TVシリーズ放送開始から5周年を記念して『ご注文はうさぎですか?』シリーズの楽曲を毎日一曲ずつ振り返りながらご紹介!!
No.170 「マワールエスポワール」
【収録 CD】「ご注文はうさぎですか??」バースデイソングシリーズ07 青山ブルーマウンテン(CV.早見沙織) 2019年10月27日(日)発売
楽曲解説
●音楽プロデューサー藤平氏
大きなテーマとして“読書の秋⇒小説”と変換し、2曲で1曲のような仕掛けを施しました。なので、今回は「マワールエスポワール」を前半「メランコリアフタヌーン」を後半の形で書かせていただきます。
お気付きかもしれませんが、テーマがほぼわからないのは今回のシリーズ全体通しても青山さんだけだったかもしれません。基本的には全て季節や記念日がタイトル名に入っていましたからね(笑)
他のキャラクターとは少し違う感性や表現方法が出来たら良いなと思い、小説の中に入り込んだような不思議な世界観を具体的に曲や歌詞で表現できたら面白いのではないかと考え“読書の秋⇒小説”と変換して進行しました。そこで、シングルなどでよく使われる『A面B面』という言葉をモチーフにして、2曲がループする曲が面白いかもとイメージしながら、辻純更さん(作詞)渡辺剛さん(作・編曲)に依頼しました。
とてもアイデアの発注だけでは叶わないので『曲のテンポは変えたい』『歌詞の目線』を念頭に綿密な打ち合わせをさせていただきました。
作詞に入る前にはテーマをいくつか出していただき、その中からこれなら「会話になっているような部分が作れるかもしれません」ということで“観覧車”というテーマが生まれ、登場人物としては主人公側という目線で『A面』としました。
●ライター塚越氏
次の「メランコリアフタヌーン」と対になっている曲で、どちらも作詞が辻純更さん、作・編曲が渡辺剛さん。対の曲になっているというのは藤平音楽Pがとてもこだわっていたところ。
すごく踊れる、ワクワクするリズムの楽曲だが、ボーカルは流れるように美しい。青山さんの歌ということもあると思うが、表現がとても詩的で、観覧車に乗って景色を見るという、ごくごく普通の行動が、とてもロマンチックに描かれている。
観覧車から見える景色の美しさ、対面に座っている鞄に入ったぬいぐるみ。そして観覧車から降りると、前とは少し違う自分がいるというラストも素敵だ。アレンジでも青山さんが少し寂しく〈魔法がとける時間〉と歌ったあとに、魔法がとけた音を入れるなど、詞に合わせた演出がとても良かった。
No.169 「ハピハピ♪バースデイソング~青山ブルーマウンテン Ver.~」
【収録 CD】「ご注文はうさぎですか??」バースデイソングシリーズ07 青山ブルーマウンテン(CV.早見沙織) 2019年10月27日(日)発売
楽曲解説
●ライター塚越氏
いつもより少しテンション高めで歌ったというバースデイソング。
青山さんは、実は物凄くテンションが上がっているけど、周りからは分かりづらいというイメージもあったので、このフー!フー!を聴くと、相当、盛り上がってるな青山さん!という気持ちになる。
10月27日の誕生花は野バラで、〈野バラの香り吸い込んで 歩きます!〉という個別歌詞もじわじわと面白い。青山さんは走らずに、歩いてそうだというイメージはあるけど、それを高らかに宣言してる感じが歌に出ていて、そこにちょっとニヤッとしてしまう。また、セリフ調のコーラス部分は癒しでしかないので、イヤホン推奨。
No.168 「天高くおとめこゆる秋」
【収録 CD】「ご注文はうさぎですか??」バースデイソングシリーズ06 千夜(CV.佐藤聡美) 2019年9月19日(木)発売
楽曲解説
●音楽プロデューサー藤平氏
これまでも千夜は“和”の部分を担ってきましたが、初期に立ち返るようなイメージで楽曲制作を進めていきました。
『色葉おしながき』のような明るいミドル曲というよりは、歌詞では“食欲の秋”としてアンニュイな千夜を出しつつ、しっかりしたサウンドの重ためミドル曲を狙いました。
さすがの辻純更さん(作詞)で、メニュー名にもありそうなタイトルで曲の持つカッコよさの部分を表し、中身としては“食欲の秋”と“乙女心”をきっちり表現した千夜らしい曲にしていただきました。
千夜の曲は “和”の魅せ方として『歌詞/曲/アレンジ』でまだまだ考えさせてくれるという意味でも凄く好きなのですが、この曲の最推しポイントは、最後の「囁いたから」です。
1番サビ同一歌詞のかわいい表情とは異なる『だから今夜はいいでしょ?』の小悪魔的な細かいキャラクターの表情やニュアンスは、佐藤聡美さんにしか出来ないと間違いなく言える部分であり、こちらもその細かいニュアンスを消さないように最後の最後までボーカルに掛けるエフェクトを限りなく素にする調整をさせていただきました。
●ライター塚越氏
『ごちうさ』で和テイストの曲を一手に担っているのが千夜で、日本人は和テイストとか和楽器のサウンドが本当に好きだと思うので、ある意味オイシイ。
千夜の癒し系のボーカルもあって、ずっと聴いていられる心地よさがある曲。 それにしても秋といえば〇〇というのはいろいろあるが、食べることしか考えてない千夜が面白い。読書をしながら1ページ毎に栗羊羹を食べるって、とんでもないカロリーになりそうだけど、ここの〈栗羊羹〉と音のハマりが最高に気持ちいい。それに、こういう忙しいポップチューンでも、細かくニュアンスを入れて千夜ちゃんらしさを演出してくれる佐藤聡美さんに、あらためてすごいなぁと感動してしまう。
No.167 「お月見数え唄」
【収録 CD】「ご注文はうさぎですか??」バースデイソングシリーズ06 千夜(CV.佐藤聡美) 2019年9月19日(木)発売
楽曲解説
●音楽プロデューサー藤平氏
千夜のテーマは1枚を通しては言わずもがなですが“秋”
『秋と言えば?』と聞かれたら本当に様々なものがあるのが日本ですが、良い意味で他のキャラクターとはちょっと毛色の違う歌詞にしたかったので“秋の夜長”“お月見”というテーマで作詞していただきました。
曲に関しては『千マメ隊/FANCY SWEET TIME』があったこともあり、表の拍子で遊べて千夜の新たな魅力の一つとして“和風クラブミュージック”のような面が出したくてこの曲を選ばせていただきました。ただ、この曲はメロディに反して歌詞でみせる表情がとにかく難しい!(笑)
高瀬愛虹さん(作詞)の遊び心が満載で、早口言葉のような要素があったりするのも楽しんでただけると思いますが、個人的なおすすめ箇所は最後の「はないちもんめ」以降の部分です。ここのメロディアクセントは、表と裏が行ったり来たりしているので凄く難しかったと思うのですが、佐藤聡美さんの歌詞表現に合わせた千夜の表情ももちろんですが、本当にリズム感が良い方なんだなと改めて実感した1曲です。
●ライター塚越氏
早口言葉みたいな始まりがユニーク過ぎる。こういう語感の心地よさが感じられる歌詞といえば高橋愛虹さん。でも、独特のリズムとワードのハマりが強力で、そこに和楽器によるアレンジも加わるから、ものすごく中毒性がある。聴き終わったあと〈うさぎぴょんぴょこぴょんぴょこ 出ておいて みぴょこぴょんぽこ 合わせたら〉がぐるぐるぐるぐる回る。元は“カエルぴょこぴょこ”なんだろうけど、“うさぎぴょんぴょこ”って何なんだ?と考えると、だんだんゲシュタルト崩壊してくるので気をつけましょう。
団子を作ってお月見しているという、とっても秋の歌です。作・編曲は「私と浪漫ていすと」に引き続き千夜曲を担当したヤナガワタカオさん。イントロのリフもとても印象的だ。
No.166 「ハピハピ♪バースデイソング~千夜 Ver.~」
【収録 CD】「ご注文はうさぎですか??」バースデイソングシリーズ06 千夜(CV.佐藤聡美) 2019年9月19日(木)発売
楽曲解説
●ライター塚越氏
レコーディング前に、すでに他のキャラクターが歌った音源がリリースされていたのだが、あえてちゃんと聴かないようにしていたと話してくれたが、それだけにまた雰囲気の違う「ハピハピ♪バースデイソング」になっているように思う。もちろん、癒し系のおっとりボーカルだからというのもあるのだが…。
柔らかい感じが全体に漂っていながらも、セリフ調の掛け声部分は、やけにノリノリなテンションになっているところが千夜っぽい。9月19日の誕生花はサルビア。〈サルビアの蜜あまいこと 知ってます?〉のボーカルもテンションが高くて、すごくかわいい
No.165 「夏休みページ」
【収録 CD】「ご注文はうさぎですか??」バースデイソングシリーズ05 マヤ(CV.徳井青空) 2019年8月8日(木)発売
楽曲解説
●音楽プロデューサー藤平氏
これまでが“外で感じる夏”だったので、大きなテーマとしては“室内で感じる夏”ということで考えてみました。夏休みの宿題を図書館で「やったやった!」「やったな~(遠い目)」「まさに今やってます!」「あ~ごちうさかわいい」など、聴いた皆さんが懐かしさと一緒に夏を思い出す楽曲になればという思いで“夏休み”という大切な時間を切り取っていただくことにしました。
『お祭り輪っしょい!!』と同じ、渡部チェルさん(作編曲)が作ってくださったのですが、煌びやかさと切なさが感じられるメロディと、サビの軽快なリズムの心地良さがマヤを引き立ててくれています。詞の面でも、一緒にいるキャラクターやマヤから観た景色をうまく見せてくれるやわらかい歌詞表現になっていて『プレゼントレジャー♡』などキャラクターカラーを色濃く表現してくれた、辻純更さん(作詞)だからこその色鮮やかな曲に仕上がりました。個人的にはTVアニメの後提供(第1期6羽)で使用された木漏れ日の中のチマメ隊のイラストを観ながら聴くことをおすすめしています!(笑)
●ライター塚越氏
タイトルがとても情緒があっていい。ページという単語から感じる切なさが、そのまま曲調からも感じられた。こちらも渡部チェルさんによる作・編曲なのだが、曲が持っている空気感を、辻純更さんがそのまま歌詞にして表現してくれたのだろう。
図書館で宿題をやってるマヤたちのやり取りがそのまんま浮かんでくるようなストーリー性のある歌詞で、それに合わせてすごく丁寧にニュアンスを入れて歌っているのがわかる。だから聴いている人はより明確に景色を思い浮かべることができる。アレンジはストリングス含め、すべてが心をギュッとさせてくれるのだが、特に間奏のアコギソロからのマヤのエモいボーカル、そしてアウトロのピアノの余韻が素晴らしかった。
No.164 「お祭り輪っしょい!!」
【収録 CD】「ご注文はうさぎですか??」バースデイソングシリーズ05 マヤ(CV.徳井青空) 2019年8月8日(木)発売
楽曲解説
●音楽プロデューサー藤平氏
シャロと同じお祭りかぶり!(笑)実は……、元々この曲の方が『思い出花火』より先にテーマを決めて作っていたんです。なので、同じ夏の日の瞬間とも取れるし、別々の日という考え方も出来るし、と、どちらも同一テーマにして、高瀬愛虹さん(作詞)に依頼して並べる形にしました。また、この曲は細かい音作りやアレンジの調整が光る曲なんです!
決して他の方がないわけではありません!という前置きをさせていただきまして、例えば、ピアノという歌詞があるからピアノを使うなど、詞に合わせてアレンジを変えたり、歌い方に合わせてアクセントを変えたりするのは良くあるのですが、そういう細かい調整を渡部チェルさん(作編曲)は最後までこだわってくれる方なんです。太鼓だから太鼓の音を使うとかではなく、マヤの暑苦しいわけではなく天真爛漫な部分を、このテーマでしっかり暑苦しくなりすぎないサウンド感でまとめ、サビにある摺鉦の音で祭り感を出したところなど細かいところまで気の利いた1曲に仕上がりました。
余談。
リリース翌日の神田明神納涼祭りへの出演依頼が徳井青空さんに来る前に作っていたので「こんなタイミングもあるんですね!ビックリ!」と徳井さんとも話したのが良い思い出です。
●ライター塚越氏
渡部チェルさんによる作・編曲。南国感溢れるリズムが印象的で、Bメロで急におしゃれな雰囲気になったり、洗練されたにぎやかさを感じる楽曲。でも、こんな異国情緒たっぷりの曲なのに、歌詞が思いっきり夏祭りというのが最高にユニーク! 歌詞には〈盆踊り〉も出てくるのだが、2019年『神田明神納涼盆踊り』の『ご注文はMini DJ Nightですか??』で、マヤの中の人=DJ兎猛者(a.k.a 徳井青空)がこの曲をかけて盛り上がっていたのは言うまでもない。最高の祭りソングだ。
No.163 「ハピハピ♪バースデイソング~マヤ Ver.~」
【収録 CD】「ご注文はうさぎですか??」バースデイソングシリーズ05 マヤ(CV.徳井青空) 2019年8月8日(木)発売
楽曲解説
●ライター塚越氏
8月8日が誕生日のマヤ。シャロとマヤは誕生日を知らなくても、なんとなく夏生まれっぽいと思ってしまうのは私だけでしょうか。そして盛り上げ上手なマヤらしく合いの手、コーラスのノリがかわいい! 歌はリゼとはまた違うカッコよさがあるというか、引っ張ってくれる感じや真っ直ぐさがある。
誕生花はアザレアで、〈アザレアの道 おおいそぎ駆けてこう!〉というのが個別の歌詞。ちょっと曲的にゆったり沈んだところから、このフレーズでマヤらしい元気さが一気に全開になり、一層盛り上がるラスサビは爽快。
No.162 「思い出花火」
【収録 CD】「ご注文はうさぎですか??」バースデイソングシリーズ04 シャロ(CV. 内田真礼) 2019年7月15日(月)発売
楽曲解説
●音楽プロデューサー藤平氏
あくまで個人的にですが、夏の一番の魅力は昼と夜の“ギャップ”だと感じるんです。昼間はとにかく暑い!でも夜になるとさほど涼しくないけどテンションが落ち着いてきて、長く明るい時間が続けば続くほど、夜が何か特別な感じがするんです。早朝4時なのにもう朝じゃん!と逆にビックリしてしまう時も含めて(笑)
中山聡さん(作編曲)のデモを聴いた時に、夏の夜に聴きたくなる美しいメロディとアレンジが心地よく、シャロの声とマッチしてより良くなるなと感じてこの曲を選びました。
作詞については『とびきりsummer time』の後日談というイメージで聴くも良し、また別の日と捉えて聴いていただいても良いですし、花火と言えばやはり「ご注文はうさぎですか?? ~Dear My Sister~」のお祭りシーンを想像していただいても良いように仕上がっています。シャロだからこその言葉の選び方や景色の感じ方も、長い夏の一日の中でいくつも変わる表情や心情の変化、どちらも美しく表現していただいたこの1枚は、今回のシリーズを通して一番のお気に入りです。
●ライター塚越氏
聴いているだけで、ほろっと泣けてしまう名曲。最近は何だか酔っ払っているようなテンションが多かったシャロだが、この曲は、ちょっとお姉さんぶっているシャロの感じがよく出ている。共通曲で“陽”の声質と書いたが、その声でこういう切ない楽曲を歌われると、切なさが余計に感じられて泣けてくる。「とびきりsummer time」に続き、情景がよく見える歌詞で、青春感がたっぷり。
No.161 「とびきりsummer time」
【収録 CD】「ご注文はうさぎですか??」バースデイソングシリーズ04 シャロ(CV. 内田真礼) 2019年7月15日(月)発売
楽曲解説
●音楽プロデューサー藤平氏
テーマは“夏”もうホントそのまんまタイトルです(笑)
シャロまでの期間が空いていることや、シャロとマヤの間が今度は短かいこともあり、シャロとマヤは共通のテーマでピンポイントな情景を描いた曲にしようと考えました。シャロらしさを活かすために“バイト”と“夏”という部分を掛け合わせて楽曲内設定を考えるのは楽しかったです。
物語のメインとなるキャラクターだけでなく、その他のキャラクターの心情表現まで感じられる詞を書ける、あさのますみさん(作詞)だからこそ完成した1曲です。
働きながらも心の中では喜んでいる様子や、みんなで遊びたいと思っている様子、逆にシャロ以外のみんなでサプライズしようと計画していた様子までもが読み取れる細かい表情が豊かに表現されています。その他も肌で感じる暑さと友情という心の温かさも“夏”というテーマとマッチさせたかったので、細かい部分まで何度もすり合わせていただきました。
●ライター塚越氏
作詞は声優の浅野真澄さんで、『ごちうさ』の楽曲はこれが初めてになる。フルール・ド・ラパンが出張で海の家でもやってるのか、はたまたただバイトをしに来ているだけなのか?みたいなシチュエーションで、そこにみんなが来て、いつものワイワイが始まるという、実に『ごちうさ』っぽい多幸感がある歌詞。松浦雄太さんの楽曲も疾走感がある。サウンドは実はヘヴィだが、イントロのピアノとシャロの歌声がとても爽やかなので、夏の清涼感が楽曲全体からしっかりと感じられる。キャラソンというより、アーティストが歌ってそうな青春感のある楽曲。